Saturday, August 10, 2013

隊員の集う、ムジンバ県病院訪問!!

先週の木曜日、任地にあるMzimba県病院を訪問&見学してきました。
仕事とプライベート、両方です。つまり、布ナプキン講座を病院でも行うべく、ついでに隊員が多く入っている病院を、色々案内してもらおうっていう魂胆でした。
 
実は、2月に同じ任地に住む栄養士隊員Kちゃんが我が家に遊びに来た時に、「勤務先の県病院でもナプキン講座をやってほしい」とリクエストをいただきました。
 
ムジンバに限らずどこの病院でもありがちなことですが、病院ではよく備品が盗まれます。在庫管理など、出来たものではありません。Kちゃんの職場では、コットンの布(マラウィの生理用品としても使われているもの)が、よく病院スタッフにネコババされるそうです。
 
ただでさえ、経営がうまくいってない病院なのに、横領があると更に経営は傾きます。
布ナプキン講座を行うことによって、衛生面での啓発活動が出来ることに加え、横領も減るのでは、との意図で依頼を受けていたのです。
 
・・・が、なんとなく月日が流れ、やらずに8月になってしまいました。
その一つの原因というのは、その立地。
我が家と病院は、街の中心地を挟んで5,6キロ離れています。よっぽどの用事がない限り、私は病院よりの地域には行くことがなく、ほんっと馴染みが薄かったのです。
 
だから、病院=遠い、という式が出来上がってしまいました。
 
でも、最近はDAPPの友人と15キロ離れた村に布ナプキン講座をしに行きます。
ある日ふとサイクリングをしてる最中に「15キロ離れた村に行けるんだから、5キロ離れた病院に行けないわけがない」という、すごく当たり前な事実にやっとこさ気づいたのです。
 
というわけで、いざ、病院の産科に出陣!!
・・・あ~!ほんと、後悔。産科の写真を撮っておけばよかった!!!!
ものすごい混沌としたる状況です!!
日本の産婦人科医さんたちも大変だけど、マラウィも負けずに大変だぞ~!!!
(弘前にいる女医のRちゃん、頑張れ!!)
 
産科病棟には100人位の患者さんがごちゃごちゃいるのに、スタッフは4人くらい。
忙しそうにお薬を配ったり、赤ちゃんの体重を吊るしで測ったり、患者さんの話を聞いてあげています。
とてもじゃないけど、当初の目的である「妊婦教室を開いて布ナプキンを伝授する」という夢はもろくも崩れ去りました。
スタッフの皆さん、忙しすぎて日常の業務をこなすことすらままならないので、いきなり部外者の私が入り込んで新しいプログラムをはじめるっていうのは、逆に迷惑になりそうな気がしたのです。
妊婦教室を開くのであれば、スケジュール調整、参加者への呼びかけ、費用をどうするのかの話し合い、講座での通訳による拘束、など。
ただでさえてんてこ舞いのスタッフさんの負担が増えます。でも、給料は増えません。
 
 
だから、Kちゃんと話をした際のおぼろげな方向性としては、オーガナイズのやりやすさを考え、保健師さんたちに布ナプキンの方法を伝授し、IGA(収入創出活動)を兼ねて、田舎の村に出張に行った時に販売してもらいます。それで、布ナプキンの知名度と普及率を少しづつあげていく、ということに。
 
ものすごく時間がかかるし、果たして成功するかは全くの未知だけど障害が多すぎる私たちにできることはこれくらいかな、と。
 
というわけで、私はひとりの女性スタッフ(保健師さんみたいな人)にサンプル持参でナプキン講座を紹介しました。
 
使用方法や利点を伝えると、彼女はアイデアに食いついてくれました。ただ、上司が出張で不在とのことで、上司の了解があった折には連絡をくれることになっています。来週以降に期待☆彡
 
ただ、病院訪問のあと、自分のオフィスに戻り、上司に報告すると、ちょっと苦い顔をされました。
上司のアドバイスは以下の通り。
 
 
*保健師さんに教えるのは得策ではない
→皆さん忙しく出張が多いので、集まるのは難しい
→保健師さんレベルの地位の方になると、講座を行った時に参加者礼金を払わなければいけない
 
 
*フィールドに出て講座をすべし
→保健師さんが、僻地の村にあるヘルスセンターに出張する際に同行し、布ナプキンを村の人たちに伝授すれば、一番平穏に物事が進む
(ただこれは、完璧な新参者の私が急に入り込む余地はないし、マラウィ人主体の出張に旅行となると、度重なるスケジュールの変更やものすごく悪い段取りのおかげで、十中八九実現は難しい。)
 
とのことなんだけど、要は、病院との政治問題が絡んでくるから、あんまり私に病院で働いて欲しくないみたい。医療関係は病院スタッフが牛耳るから、村落開発の部署の人間は幅を利かせるな、ってこと。
上司は私に気を使って、表現はとても歪曲的でしたが、要はそういうことらしいです。
Kちゃんとこの情報をシェアした結果、とりあえず保健師さんからの連絡を待って、次の出方を考えよう、ということになりました。
 
というわけで、その日のひと仕事を終え、あとはプライベートを満喫♫
現在この病院では3名の隊員さんが働いているので、みなさんの活動の場を見学させてもらいました。
 
まず一人目。薬剤師のSさん。
薬の倉庫の整理や、マンパワーとしての薬の調合をしています。
土曜日の午前中も勤務する、かなり忙しい方らしい。
私も年上なことと温和な特性か、とってもソフトで落ち着いた方です。
 
倉庫を見せてもらったのですが、マラウィの残念な現状が垣間見れました。
 
 
               
上の写真。
がら空きなスペースと、そうではないスペースがあります。
薬で埋まっているスペースは、「良く使うお薬なんだけど、全然足りていないし、そもそも予算が国からおりないので、自分では買えません」という状況。
「大して必要ではないんだけど、海外援助からドンドン入ってくるので、なんとなく増えました」っていう状況。
 
本当に必要なものは、いつでも足りていない状況です。


薬に限らず、マラウィはいつだって、そうです。



これが、在庫管理表。でも、きちんとした管理が行われてるとは私は思いません。
絶対汚職&横領があるはず。病院のスタッフは、高学歴の人が集まっています。頭はいいです。
そうなると、いかに私腹を肥やすかに皆さん走りがちなので・・・。
生存競争が激しく、政府が全然サポートしてくれないマラウィでは仕方がないことだけど、残念ですね・・・。

そんなかで、適度な兼ね合いで、見て見ぬふりをしつつ仕事を進めていかなければいけない病院隊員さん、とっても大変だよ!!


あ~、なんだっけ、この薬。忘れちゃった。エイズの薬?結核?糖尿病?


確か、上の写真は、経口避妊薬だった気が。たしか、ドイツから入ってきました。
出産直後の女性が、すぐ妊娠しないように、お医者さんが処方するらしい。


さてさて、隊員の活動の残滓が垣間見れます。
上の写真は、どの引き出しに何が入ってるかをラベリングしたものです。
あんまりにもあらゆる場所が散らかってるので、隊員が始めたことです。
でも、いざ始めようとすると、「紙とテープがないんだけど、どうすればいいの?」と聞かれたそうな。
そんなの自分で考えてくださいなっていう領域だけど、彼は、薬に貼ってあったテープをはがして、利用したそうです。

白いラベルはMalawianスタッフに貼ってもらったもの。


そして、ピンクのラベルがS日本人が行ったもの(Sさん、もしくは前任の方)。




お忙しい中、丁寧に説明をしてくださったSさん。ありがとうございます!!!



このテーブルで薬の調合をします。
何故か携帯とイヤフォンも置いてあります。業務には全く関係ないものです。
なんか、汚いし、雑然としてるし、薬の入れ間違いも普通にあるみたいですよ。
恐怖ですね、恐怖。

ちなみに、私は現地の病院を全く信用していないので(これはどの隊員にもあてはまるとは思いますが)、これまで具合が何度か悪くなりましたが、自力でどうにか治しました。


ここで、外来患者のお薬の受け渡しをします。

さてと、次は内科病棟です。
悪性の貧血でフラフラな10歳の女の子が心配、とのことで、KちゃんとSさんと内科病棟に行きました。今は、乾季ということでマラリアが少ないので、病棟はガラガラでした。

「かまじょう貧血」、英語ではSickleなんちゃらっていう遺伝性の病気の女の子。
血液が養分を充分に運ぶことができないので、体が弱って長生きができない病気だそうです。

と、事前にSさんから説明を受けましたが、「長生きが難しい10歳のマラウィ人少女」っていうのがそんな姿をしているのか、よく想像できませんでした。

そして、いざ病室に行ってみると、・・・あぁ、とため息が思わず出てしまいました。
ベッドにお母さんと座っている彼女は、私たちが訪問しても、言葉を発しませんでした。
体は痩せており、あることが難しいほど体力がなく、髪は全て黄味がかった白色で、口にはたくさんヘルペスができていた。
その割に、眼力だけは強い。だまって私たちのことを見ています。
病気で疲れきっているせいか、表情が険しい分、ちょっとゾクッときてしまいました。

半年ほど前から、内臓に不調をきたし、入院しているそうな。
一応、輸血設備はあるらしいので、近々輸血をするそうですが、根本的な解決にはなりません。
弱っている内臓も全然治療できていないので、やっぱり彼女、長生きはできないんだと思います。

Kちゃんは、彼女に普通の病院食ではなく、高タンパクの栄養食を出すように指示を出しているそうです。高タンパクの食事とは、ミルクを出すこと、らしいです。
昨年5月ごろにあった通貨切り下げの後、物価が鰻のぼりに上昇しているので、病院でも十分な栄養のある食べ物を変えません。だから、本当は大豆などを病院食に取り入れたいけど、難しいのが現状だそうです。


がら空きの病室。


病院のキッチンにある、何をいくつ作るかっていう表。一応あるけど、あんまり機能していないみたい。食材の少なさと、マラウィ人のマネジメントの下手さ故。

キッチンの概観。
ここで、主食のSima(トウモロコシ粉を練ったもの)やおかずを作ります。

お洗濯日和の病院。
病院の菜園。
一応水やりはきちんとされていますが、ちゃんと野菜たちは病人の口に届いているのでしょうか。
ナス、人参が生えているけど、私、マラウィ人たちがナスを調理していることろ、一度も見たことがないけど、どうなってるのかは、謎。


 
さてさて、これは行政マネジメント隊員のお仕事。彼は、TOYOTAの「5S」をやっています。
整理・整頓・清掃・しつけ・・・あともう一つ、なんだっけ?TOYOTAのマネジメントを病院にも取り入れようってことで、日本のアフリカ援助業界では、5Sが近年アツイです。
 
どんなことをしてるかというと、要は、病院内を見て回って、散らかってるところがあったら整頓しようぜ、それを自力で組織的に行おうぜっていうこと。
 
のんびりやでお片付けが不得手なMalawianとの仕事はとっても進みが悪いと愚痴っていました。
打ち合わせの集まりが悪いから、しょっちゅう延期になったり・・・大変です。
システマティックに仕事をすべし、って、日本ではトントン拍子で進んでいくけど、マラウィではとっても至難の業です。
 
 
病院を一通り見せてもらったあとは、Kちゃんのおうちでご飯を食べました。
ご飯を食べつつ、活動についての現状をシェアすることで、のんびりなマラウィ文化に翻弄されているのは自分だけではない、と元気が出ました。
 
病院の皆さん、いろいろとお時間、ありがとうございました♫



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