Monday, April 22, 2013

二度と会えない人たちがたくさんのマラウィ


マラウィでは、10月〜4月までが雨季。5月〜9月までが乾季。その中でも、7月、8月が冬で、910月が夏に当たる季節。冬といっても、夜になると10度くらいに気温が下がるだけで、日中はちゃんと暑い(多分30度を越している)。

 

今、一応は雨季に当たるけど、我が任地、今年は雨が、少ない少ない!マラウィでは雨が降り出す頃に畑を耕して、雨が降ったと思ったら畑に主食であるとうもろこしの種を植える。雨季には大体、一日に何回か雨が降る。ほいで、雨季が終わった頃にトウモロコシは収穫の時期を迎える、というのが毎年の流れ。

 

でも、今年はとても雨が少ない。去年も雨季を体験したけれど、圧倒的に雨の量が少ないし、今年の今頃は割と毎日雨が降っていたはず。一方で今年は、記憶の糸をたどると、雨まっさかりの2月でさえ、毎日雨が降っていたという記憶が薄い・・・。週末に遊びに来る予定の友人が、雨が降っていたら自転車で来れない、という心配事をほとんどしないで済んだから。

 

この気候のせいで、トウモロコシの育ちは、かわいそうなくらい。まだ大きくなっていないのに、カラカラに干からびてしまってトウモロコシさんたちが散見される。

小さいまま枯れてしまった量=本来食べられるはずだけど、食べられなくなってしまった量、に値することになる。

 

というわけで、今年のトウモロコシは、不作ってこと。

そして、来年は誰かが必ず飢えて死ぬってこと。

 

今の時期はまだいい。収穫されたばかりのとうもろこしを食べれば良いから。

でも、来年の収穫の時期が近づいたら、事態は切迫するはず。なぜなら、前年にとれたトウモロコシを食べ尽くしちゃって次の収穫までの食べ物に困るから。

 

先日、することがなくてオフィスに一人でいたら、私の同僚を訪ねて一人のお役人さん(オフィサーと私たちは呼ぶ)が遊びにきて、たくさんおしゃべりをしてくれた。

 

「来年は、間違いなく餓死する人が続出だろうね」とのこと。

 

実は、昨年もメイズが不作で、今年の今時期、食料が足りなくて、問題になっている。

ADD MARKという農協のような組織で、トウモロコシを販売しようものなら、ものすごい人だかりになるそうな。私も人の山を一度見たけど、ちょっとした群衆が「ワ~ワ~」言ってるのが聞こえた。その前日同じ場所で、群衆の中で卒倒した女性が連れていた子供が、人々に踏み潰されて亡くなったそうだ。みんな、トウモロコシのために我先にと必死だったらしい。

 

トウモロコシの輸出入をしているザンビア、モザンビークでは既にトウモロコシ不足がマラウィよりも一足先に問題になっているとのこと。

来年の今ごろ、どの国からトウモロコシを輸入すればいいのか。

そして、充分なトウモロコシ購入代が国によって工面されるかどうかすら、危ういらしい。

国際援助機関が誰かしら助けてくれるだろうが、「絶対援助をもらえる」と確実視するわけにもいかない。

 

なんとも心細い状況。

 

2001年には、大変な飢餓がマラウィを襲ったことを「風をつかまえた少年」という書籍で読んだ。オフィサーいわく、この年はバタバタ人が死んで、本当に大変だったらしい。

 

さすがに来年は、当時ほどひどい状況には陥らないだろうと彼は予想するけど・・・

 

「私の今いる知り合いの中の何人かは、来年の飢饉で亡くなるってこと?」と聞いてみると、

 

「うん、確実に誰かは亡くなると思うよ」と、自信満々な回答が返ってきた。

 

・・・誰だろう。うん、大体の目星はついている。

おそらく、活動先のおばちゃまたちの中から餓死者が出ると思う。

 

私のオフィスの同僚は、公務員ということで、政府からの配給が手に入りやすいし、市街地に住むし、現金収入があるので、まだどうにかなる。

私の家主は、ナイジェリアに住む娘さんご夫婦がめちゃくちゃなお金持ちで、仕送りには事欠かないから、おおかた大丈夫。

 

一方、活動先のおばちゃまたち(特に、辺鄙な村に住んでる方たち)は、不安だわ~。

まずもって、旦那さんが亡くなってたら、現金収入がないし、街に遠いとトウモロコシを得る手段が限られているし、HIV陽性だったら、栄養状態が悪くなると病状に響くし・・・。

 

あとさきのことを考えるのが不得手なマラウィ人。今はニコニコ平和に暮らしているけど、来年の今ごろ、大丈夫かな・・・。

 

我が任地、ムジンバでは雨がからっきしだけど、ほかの地域だとたくさん降ってるみたい。だから、困ったらほかの地域からトウモロコシを買えばいい話なのだけど・・・そんな理屈通りにことがうまく運ばないのがマラウィの常っていうのは、これまで学んできたこと。

 

一応、活動の最終日を迎えたら、活動のグループメンバーに固い握手を交わして別れを告げよう。数年後フラッとマラウィを訪れても、もう二度と会えない人たちが確実にいるんだから。

 

人の死に最近慣れてきて、人が亡くなることに対して感じる精神的衝撃が、毎回毎回少なくなってる自分がいる。これって、悲しいし、なんだか寂しい鈍感力よね・・・。

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